東野圭吾作品の世界

東野圭吾著作の書籍からその世界観を独断と偏見で解釈します!

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「同級生」は、最後の2ページで白けた気分になった!

どんなに好きな作家の小説でも、必ず1冊や2冊は「??」というような作品はあるものだと思います。東野圭吾氏の「同級生」は、僕にとってはそんな一冊だった。それも、わずか最後の2ページのせいで・・・  

同級生 (講談社文庫)

同級生 (講談社文庫)

 

 

小説の内容は、以下のような内容です。 

主人公は高校三年生で、野球部のキャプテン。彼には好意を寄せる同級生がいて、彼女も同じ気持ちであると感じていた。それは、彼女のほうから近づいてきたからであった。しかし、それは彼の思い違いであったことを知り、自暴自棄になり、かつてから彼に好意を持っていた野球部のマネジャーと関係を持ち、彼女を妊娠させてしまうのである。

彼は、彼女が妊娠したことを知らなかったが、彼女が交通事故で亡くなった時にその事実を知ることになる。彼女は、産婦人科病院近くの路上で交通事故に遭ったのだが、その時の現場に同校の女教師がいたことが明らかになり、その事故に大きく関わっている可能性がでてきた。

彼女を妊娠させてしまったことに罪悪感を感じていた彼は、周囲に子供の父親が自分だったことを告白し、事故の原因を追究することを決意する。しかし、事故原因に大きく関わっていると思われていた女教師が殺害されてしまい、彼は、その容疑者としても周囲から白い目でみたれるようになる。

彼は、事故原因と殺害事件の真相を探るべく独自で捜査を進めていくのだが、今度は彼が好意を寄せていた同級生の殺人未遂事件が起こってしまう。

交通事故と殺人事件と殺人未遂事件、この3つの事件が指し示す真相とは何なのか?

 以上が小説のあらすじだが、どうも主人公の彼に感情移入できないところに白けた原因はあるようだ。「好きでもない女性と関係を持ち、そして妊娠させてしまった。」そんな軽率とも思える彼の行動があったから感情移入できないわけではない。こういうことは世の中でもたくさんあるわけで、それが小説になったからと言って白けさせる要因にはならない。彼は、そのことを自覚し、その罪悪感から事件の解明に動いていくわけだから、それについてはむしろ感情移入できたとしても不思議ではないし、実際、僕も最後の2ページを読むまでは、そこそこ主人公にも感情移入していたのではないかと思う。 

それが、最後の2ページを読んだとたん、妙に白けた気分になってしまった。それどころか、やはり主人公は、少なくとも事故で亡くなった彼女のご両親にとっては憎むべき存在なのではないか、という思いが拭えなくなってしまったのである。なぜなら、この一連の事件は、間違いなく彼の軽率な行動に起因しているわけです。それなのに、事件解明後の彼の爽快感はいったいどこから出てくるの?と疑問を感じずにはおれないのである。

 

あくまでも僕の感想ですので、どう感じるかは自分で読んで確かめてみてくださいね!