東野圭吾作品の世界

東野圭吾著作の書籍からその世界観を独断と偏見で解釈します!

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ガリレオシリーズ【容疑者Xの献身】の論争

ガリレオシリーズ3作品目の小説。

2005年8月に単行本が発売、2008年8月に文庫本が発売され、2008年10月4日に映画公開された作品である。2012年2月に発売された「東野圭吾公式ガイド 読者1万人が選んだ東野圭吾作品人気ランキング」でランキング1位を獲得した。また、国内の主要ミステリランキングを総なめにしたのですが、それに値する本格ミステリ小説なのかどうかが論争の的になった作品でもあります(当の東野圭吾氏自身は「読者が決めればいいと思う」と、この論争自体を全く意に介していないようでした)。

 

容疑者Xの献身 (文春文庫)

容疑者Xの献身 (文春文庫)

実は、この作品、

上記の論争以外にも物議を醸し出したことがあります。

 

この作品はタイトルから見ても分かるように、“献身”というのが重要なワードなのですが、この献身ぶりが純愛に値するかどうかというところが、結構読者のこの作品に対する評価の分かれ目になっていたりします。

僕的には、この純愛に値するかどうかの判断は、“純愛”そのものをどのように解釈するかによって変わるものだと考えます。

 

“純愛”というものを道義的に解釈するならば、とてもこの小説に描かれる容疑者Xの献身ぶりを“純愛”に値するものとは考えられないでしょう。しかし、“純愛”というものを道義的解釈を抜きにした“見返りを求めない愛”として解釈するのならば、この小説に描かれている献身は正に“純愛”といえるのではないでしょうか。

 

あるブログで、「容疑者Xは純愛物語を自ら構築したのであり、ガリレオ湯川はそのために利用された。これは容疑者Xのしたたかさであり、とても純愛といえるものではない。」という非常に面白い見方を書いているのを見つけたが、現実の世界ではそれはあり得るかもしれないとは思うものも、東野圭吾氏がそれを意図して書いたと考えるのは、あまりにも飛躍しすぎではないでしょうかね。

 

映画の容疑者Xは堤真一さんが演じていましたが、小説を先に読んだ方なら随分外見のイメージが違うなと感じたはずです。しかし、その外見でのイメージの違いをあまり感じさせない演技力は、堤真一さん、さすがでしたね!

容疑者Xの献身 スタンダード・エディション [DVD]

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