東野圭吾作品の世界

東野圭吾著作の書籍からその世界観を独断と偏見で解釈します!

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「秘密」の劇場版は、ラストが少し残念だった。

昨日、BSで「秘密」の劇場版を放映していましたね。広末涼子と小林薫が主演した映画です。僕自身は、映像化が原作の小説に忠実な作品であるかどうかはそれほど気にしません。おもしろければOKだという考えです。実際、「白夜行」のテレビドラマなんかは、小説以上に感動したくらいです。

文字だからこそ表現できること、映像だからこそ表現できることがあり、その表現のためには物語の展開が原作と多少変わってしまうことは必然だと思っているからです。

だけど、劇場版の「秘密」のラストの展開だけは少し残念な気がしました。

小説版の「秘密」は、2つの秘密という構成で成り立っていると僕は思っています。

  1. 世間に対する杉田家(夫・平助と妻・直子と娘・藻奈美)の秘密
  2. 夫・平助と妻・直子のお互いに対して持つ秘密

この2番目の秘密は小説のラストの方で展開されるですが、これがこの小説の中で最も感動する部分だと僕は思っています。お互いの幸せを願って、夫と妻はお互いに秘密を持つことを決意するのです。このお互いの決意は、涙なくしては読めません。

僕は、1番目の秘密より、むしろ2番目の秘密がこの小説の核の部分だと思っているくらいです。

 

しかしながら、劇場版では、この2番目の秘密がないがしろになっています。この部分の展開だけは、もっとどうにかならなかったのか?と残念でなりません。

 

志田未来と佐々木蔵之助が主演されたテレビドラマ版の「秘密」は、この部分はどういう展開になっているでしょうかね。劇場版を観てから急に気になってしょうがありません。

 

「秘密」のちょっとしたあらすじはこちらからどうぞ⇒

秘密 (文春文庫)

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